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~人生100年時代の引退戦略~

「高齢者」の境目、昭和の“55歳”からなぜ今”75歳”へ? 医学データが裏付ける“若返り”の理由 | 弁護士JPニュース – Yahoo!ニュース

「高齢者」の境目、昭和の“55歳”からなぜ今”75歳”へ? 医学データが裏付ける“若返り”の理由という記事が、Yahoo!ニュースに配信されていた。配信元は弁護士JPニュースである(2026/9/21掲載)。

2ページの記事で、2ページ目は高齢者の若返りについて触れていて、これは拙著「リタイア・シフト」でも指摘していることだが、1ページ目の法改正にみる「老人」の変遷という記事が興味深いまとめだった。

【1970年代:55歳定年と「70歳医療無料化」の時代】 半世紀前、1970年代の日本において「老人」の入り口は今よりはるか手前にあった。 当時の民間企業の定年は「55歳」が主流で、中高年雇用促進法(現・高年齢者雇用安定法 )における高年齢者の基準も55歳以上とされていた。つまり、50代半ばを過ぎれば労働市場では「高齢退職者」とみなされていたのである。 一方で福祉行政に目を向けると、1973年、当時の美濃部亮吉・東京都知事による革新自治体の政策や国の福祉政策転換を受け、老人福祉法に基づく「70歳以上の老人医療費無料化」がスタート した。この時代、公的な「手厚い保護の対象としての老人」は70歳を一区切りとしつつも、人生の現役引退は50代半ばから60歳前後に設定されていた。
【1980〜1990年代:60歳定年義務化と年金支給開始の引き上げ】 オイルショック後の低成長期と平均寿命の急激な伸長を迎え、事態は一変する。 まず医療面では、医療費の急増に耐えかねた国が1983年に老人保健法を施行し、無料化政策を廃止。 一定の自己負担を導入した。 労働法制では、1986年の高年齢者雇用安定法改正 によって「60歳定年」が事業主の努力義務とされ、1994年の改正により、1998年には60歳未満の定年制が法律で禁止(義務化)された。 同時に、公的年金制度の持続可能性を保つため、歴史的な大改正が断行される。1994年改正で厚生年金の定額部分の支給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられ、2000年改正では報酬比例部分についても65歳への引き上げが決まった。「60歳で仕事を辞めて年金暮らしに入る」という昭和の標準モデルは、ここで法制上、明確に解体された。
【2000年代以降:「前期・後期」の区分と65歳現役化】 2000年にスタートした介護保険法 は、介護を社会全体で支える枠組みとして第1号被保険者を「65歳以上」と定義した。これにより、行政統計や社会福祉における「高齢者=65歳以上」という国際基準(国連やWHOの基準)が国内法でも定着していく。 さらに2008年には「高齢者の医療の確保に関する法律 」に基づき、65〜74歳を「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」として制度上明確に区分する後期高齢者医療制度 が創設された。75歳という年齢が、社会保障上の新たな大きな節目として浮上した瞬間だ。 労働面でも、2013年施行の改正高年齢者雇用安定法によって「希望者全員の65歳までの雇用確保」が企業に義務付け(経過措置付き)られ、法的に「65歳までは現役就労者」であることが名実ともに確定した。 ここに至って、「老人」という言葉は、法的にも、社会生活の実態としても、死語になりつつあるといっても過言ではない。
【2020年代:70歳就労と75歳受給のリアル】 そして現在、境界線はさらに先へと押し広げられている。 2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法 では、企業に対して「70歳までの就業確保措置」を講じることが努力義務化された。定年延長や定年廃止、他社への再就職支援、フリーランス契約など多様な選択肢を提示しつつ、国は「70歳まで働き続ける社会」を政策の柱に据えた。 追随するように、2022年4月施行の年金制度改正法 では、公的年金の受給開始時期の上限が従来の70歳から「75歳」へと引き上げられた。65歳を基準としつつ、個人の選択によって60歳から75歳までの15年間の幅で自由に受給開始のタイミングを選べる仕組みとなった。 こうして振り返ると、過去50年で「現役の終了ライン」は55歳から実質70歳へ、「公的扶助の重点対象」は70歳から75歳以上へと、15年単位で後ろへとシフトしてきたことがわかる。

健康保険、年金保険、介護保険といった社会保障制度、あるいは労働法が、「老齢期」をどう捉えてきたかがコンパクトにまとめられている。「55歳」「60歳」「65歳」と段階的にリタイア年齢を引き上げてきた社会が、「70歳」「75歳」と「リタイア・シフト」していく社会を法整備上どう向き合ってきたのかがよく分かる。

記事では「公的扶助の重点対象」は70歳から75歳以上へシフトしつつあると説明しているが、まさにその通りだろう。それは「今現在の75歳」だけを見るのではない。「5年後75歳になる世代」「10年後あるいは15年後75歳になる世代」そして「20年以上先に75歳になる世代」のことも視野に入れて考える必要がある。

今55歳であり、20年後に75歳になる世代は、どのようなリタイアを迎え、どのようにして75歳に達するのだろうか。そこまで考えると「リタイア・シフト」がまさに社会的なドライブであることを思わざるを得ない。

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