ビジネスジャーナルに「シニア活用の限界を破る「健康寿命延伸」投資…AI時代の定年延長とB2B福利厚生市場」という記事が掲載されている。
70歳までの就労確保義務を求めてくる一方で、「出勤はしているものの心身の不調により生産性が落ちる「プレゼンティーズム」」とどう企業が向き合うかという問題があるという記事だ。このテーマはシニアに限らず現役世代でも起こりうる。これに対応する取り組みとしてEHGを指摘する。
こうした課題への一つの応答として、一部の先進企業の間で広がりつつあるのが「EHG(Employee Health & Longevity=従業員の健康寿命延伸)」という考え方だ。これは、疾病の早期発見を目的とする従来型の健康診断や健康経営の枠組みから一歩進み、従業員の「生物学的年齢(体内年齢)」の維持・低減を目指す、より能動的な予防投資を指す。
なるほど、従業員の健康寿命を延伸させることができれば、それは本人にメリットがあるだけでなく、会社にも生産性向上などのメリットが生じるという考え方。
健康経営の実務では、欠勤(アブセンティーズム)そのものよりも、出勤していながら生産性が低下している状態=プレゼンティーズムによる損失の方が大きいという分析が広く共有されており、経済産業省の「健康投資管理会計ガイドライン」などでもプレゼンティーズムは重要な測定指標として位置づけられている。
欠勤よりもプレゼンティーズムの損失のほうが大きい、という指摘は他の側面でも行われている。残業や長時間勤務、休息のない再出社などの生産性低下がデータとしても明らかとなり、労働時間の規制につながっている。シニア世代についてもこれは同様だ。
「健康経営における投資対象は、これまで“病気の早期発見”が中心でした。しかしAIによる業務変化のスピードが上がる中で、経営層が関心を持つのは“何歳まで元気にパフォーマンスを発揮できるか”という時間軸の話に変わってきています。EHGは、健康経営とタレントマネジメントの交差点にある概念だと捉えています」(人事労務コンサルタントで社会保険労務士の松田美里氏)
健康経営の考え方は人的資本経営のひとつとして広く取り入れられるようになった(ねらいの一部に、健康保険組合の医療費低減という色気があるが、結果として社員の早期発見早期治療につながるのなら悪い話ではなかろう)。この発想を「より長くパフォーマンスを高めたまま働けるように」という考えで取り組む流れのようだ。
拙著「リタイア・シフト」では指摘していなかった領域だったので、ここに記事をピックアップしてみた。

