お盆休みということで少しくだけたニュースを紹介。エルフといえばファンタジー世界では長命種として知られるが、現代世界にエルフやドワーフが一緒に暮らすというマンガがいくつかある(私は日本に来てフライドポテトを食べたら太って元の世界に帰れなくなったという「エルフさんは痩せられない」というマンガが好きだ)。
さて、今回紹介されているマンガ、「定年60歳」は寿命が1000年以上あるエルフにも同じく適用されるのはおかしいじゃないか、というギャグマンガなのだが、案外これ深いところをついている。
「ゴリせん ~パニックもので真っ先に死ぬタイプの体育教師…
定年というのは在職年数、健康状況、本人の意向を問わず強制的に辞めさせられることのできる特殊な定めだ(労働法上も認められている)。例えば、「22歳大卒入社と24歳大卒入社(浪人生)」は同期入社であっても、60歳で一律に辞めさせられる。考えてみると、勤続年数で差別が生じているようにも見える。健康状況に問題がなくとも、本人の就労意欲があっても、定年年齢を定めておけば、そこで辞めさせることができる。
労働法の観点では、現役時代の強制的な解雇にかなりの制限を課していることとのバランスと説明されることがある。確かにアメリカでレイオフするようなことは日本ではできない。代わりにアメリカだと定年は定めることができない。年齢差別と考えるからだ。
「リタイア・シフト」の時代の選択肢として「定年年齢の定めを廃止する」というアプローチは考えられる。実は65歳へ雇用延長するときも、高齢者雇用安定法において「65歳までの継続雇用」「65歳定年」とあわせて「定年年齢の廃止」を提案しているのだが、採用割合は高くない。「70歳までの雇用確保措置」の努力義務においても定年制の廃止をあげてはいるが、なかなか広がりをみせることがないようだ。
厚生労働省の令和7年「高年齢者雇用状況等報告」では、定年制の廃止に踏み切った企業が3.9%となっているが、伸びはほとんどない。65歳定年へ踏み切る企業が毎年大幅増であるのと対照的だ。
ひとりひとりの能力と健康状況を踏まえて、シニア雇用を考えていくことができれば、定年年齢は自ずと不要となるわけだが、どうも日本ではそうはならないようだ。これは世界に先駆けて「リタイア・シフト」しているわが国において、なかなか変化しない項目のひとつである。

